【複素解析】有理型関数の閉集合内の極や零点は有限個

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ちゃんとした証明はするつもりない。しかし、大きな誤りがあれば指摘してください。

留数定理の主張で、「有限個の単純閉曲線で囲まれた領域D (Dにはその曲線上も含める) 上の有限個の特異点・・・」という形で記述されているものがある。
まず、有理型関数の特異点といえば、極であるか、除去可能。
留数定理では極の方のみ考えれば良いことがわかる。なぜなら除去可能なら留数0であるから。

で、極であるが、これが有限個であることは次のようにわかる。

極は有限個

Dは閉集合。CとR^2を距離位相によって、同相であると考える。また、単純閉曲線で囲まれた領域を考えているから、Dは有界
有理型関数$${f}$$の極が無限にあると仮定する。極からなる点列$${(z_n)_{n=0}^\infty }$$を考える。
Dは閉なのでコンパクト。したがって、点列の集積点$${z'}$$がある。
集積点では$${f}$$は正則ではない。実際、どんな$${z'}$$の近傍にも、ある$${z_n}$$はいっている。それゆえ、$${z'}$$は孤立特異点ではない。
孤立特異点ではないのに正則ではない点があるというのは、$${f}$$が有理型関数であることに矛盾する。
($${z'}$$が孤立特異点というのは、「$${z'}$$を中心とするある開円板から、$${z'}$$を除いたもの」の上で正則であることをいう。しかし、上の説明から「---」のようなものの上にはかならず極がはいっている。極では正則でないので、孤立特異点ではない。)

つぎに零点について。
偏角の原理を考える時に、単純閉曲線$${C}$$の内部$${\Omega}$$に有理型関数の零点が有限個あるということを考えるはず。
偏角の原理は次の主張を考えるものとする。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%8F%E8%A7%92%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86

零点は有限個

有理型関数$${f}$$が上の主張の$${C}$$内(これを$${\Omega}$$とする)に零点を無数に持つと仮定する。主張の仮定により、$${C}$$上には零点がない。以下では、$${C}$$上に零点があることを述べ、矛盾を導く。
$${f}$$の極は有限個である。これは先程と同様に示せる。また、極において、$${|f|=\infty \neq 0}$$である。極をのぞけば、$${f}$$は正則。とくに連続であるから、各極の開近傍で、$${f(z)=0}$$となる$${z}$$を含まないようなものを取れる。それを$${K_1,\dots,K_n}$$とする。
つぎに、閉集合$${A=(\Omega\cup C)\setminus (K_1\cup \cdots \cup L_n) }$$を考える。これは特にコンパクトであり、零点が無数にA内にあるのだから、その集積点もA内にある。A上でfは正則なので一致の定理から、A上f=0を得る。これはとくに、C上に零点があることを主張する。矛盾。